寒さのせいかと思っていたけど…

今や日本人の15人に一人が何らかのうつ病を発症すると言われている時代、うつ病は現代における慢性的な病として広く知られるようになりました。
このうつ病の中で特に季節に関係して引き起こされるものを季節性うつ病といい、この中の一つに冬季うつがあります。

典型的なうつ病の症状は不眠や食欲不振があげられますが、この冬季うつの症状は、強い眠気や過食症状などで真逆の症状を示します。
そのためうつ病と認識されにくく、これまで日本では寒いから外に出たくないのは当然、だるくて眠い、冬だから太りがち、といったように当たり前のように思われていましたが、実は欧米ではきちんとした病名がついている症状だったのです。

冬になると気が滅入ったり食欲が出たりと秋ころからその症状が現れる人が多く、春になると自然と症状が改善する人が多いようです。
しかし冬季うつは一度発症すると翌年以降もその症状を繰り返す人が多く、毎年冬になると何故か気持ちが重たい、だるくて眠くて仕方がない、という方はもしかしたら冬季うつになっているかもしれません。

どうして起こる?冬季うつの原因とは

冬季うつを引き起こす主な原因は日照時間の少なさだと言われており、これは冬になるとほとんど太陽が昇らず日照時間が極端に少ない北欧にその患者が多いことからも、それがよくわかります。
日照時間の減少が冬季うつを引き起こす原因は、太陽の光に当たる時間が少なくなることによって、体内で作られるセロトニンなどの脳内伝達物質が減少すること、眠気を催すメラトニンというホルモンの分泌が不規則となること、があげられます。

また日本人は男性より女性のほうがうつ病を発症しやすい傾向にあり、冬季うつも20代後半の女性に多いと言われています。
食べ物に「癒やし」を求める傾向が強くなり、普段はあまり食べないような菓子パンや甘いお菓子、炭水化物などを多く食べたくなります。そして過眠や過食によって太ってしまい、それがストレスとなって症状をより悪化させてしまう場合もあるようです。

冬季うつは、日照時間の減少などによる環境的な要因と、普段から蓄積したストレスが複合的に組み合わさって発症する場合が多い病気なのです。

冬季うつにならないために

冬季うつにならないために気をつけたいことは、まず、その原因となる日照時間の減少を抑えることです。
そのために朝起きたら太陽の光や、窓がない場合でも人工的な光(2,500〜10,000ルクス)を2時間ほど浴びることで、体内の睡眠・覚醒のリズムを調整し、メラトニンやセロトニンの分泌を正常化させましょう。
この高照度光療法によって冬季うつ病患者の約70%はその症状が改善すると言われており、早い人で約1週間程でその効果を実感することが出来きます。

また日常生活を少し見直すだけで、冬季うつの予防や改善をすることも出来ます。
まず、生活リズムを正してできるだけ毎日同じ時間に起床し、太陽の光を浴びて体内時計を正しく作用させるようにしましょう。どうしても起きることが難しい場合は、毎日同じ時間に部屋の明かりを全灯するだけでも効果的です。

次に食生活を見直し、冬季うつの原因となるセロトニン不足を補いましょう。セロトニンは、食事からも摂取することができる必須アミノ酸の一種であるトリプトファンから生成されるため、これらをバランスよく摂取するようにすると良いでしょう。
トリプトファンはタンパク質を多く食材に含まれていますのでこれらを中心に、その吸収を手助けしてくれる炭水化物、トリプトファンの吸収に不可欠なビタミンB6を含むバナナやサツマイモ、青魚などを食べるようにしてください。また青魚に含まれるEPAはDHAは抗打つ効果もあるとされているのでより効果的です。

さらに適度な運動や有酸素運動を行うことで、幸福感や快感をもたらすエンドルフィンが脳内に分泌され、気持ちが沈みがちな冬季うつの改善に役立ちます。
また屋外での運動は太陽の光を浴び、気分転換やストレス発散にも繋がりますので、まさに一石二鳥の役割を果たしてくれます。

寒いから、冬だからという言葉で自身の症状を軽く考えるのではなく、冬季うつという病気を正しく理解して、その予防・改善に努めたいですね。

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