中年になって動悸や肩凝り、のぼせ、発汗など症状が出るといえば、これまでは女性の話でした。しかし、最近では同じような症状を訴える男性も増えています。いわゆる「男性更年期障害」という病気です。男性更年期障害は、医学的には「加齢男性性腺機能低下症候群」と呼ばれています。

男性更年期障害はデスクワーク・管理職・真面目な人ほどかかりやすい

男性は年齢とともに、男性ホルモン・テストステロンが減ります。女性の更年期障害が女性ホルモンの減少によるものと同じく、男性更年期障害もテストステロンの減少が主な原因です。ただし、女性ホルモンは閉経を境に急激に減りますが、テストステロンの量は20歳ごろをピークに、その後はゆるやかに減少していきます。

高齢になったら男性のすべてが男性更年期障害になる、というわけではありません。テストステロンの減少に加えて、ストレスや過労、ビタミンやミネラルの不足、性格などが絡み合って男性更年期障害の症状があらわれます。男性更年期障害になりやすいタイプとして、40~50歳代の几帳面でストレスをためやすい人、デスクワークの多い仕事や管理職などが挙げられます。

うつ症状にも注意!5人に2人が不眠症も併発

男性ホルモン・テストステロンは、男らしくなるためのホルモンです。身体の面では、精子を作って筋肉や骨を太くし、体毛を濃くします。また、血液を作って、脂肪の代謝にも影響を与えます。精神的には闘争心や攻撃性を高めます。

テストステロンが減ったうえに過労などの大きなストレスを受けると、男性更年期の症状として自律神経失調症やや泌尿器系の問題、精神症状などが現れます。

●自律神経系の不調…動悸や肩凝り、のぼせ、顔のほてり、手足のしびれ、頭痛、発汗、冷え性など
●泌尿器科系の不調…勃起障害をはじめとした性機能の低下
●精神的な不調…疲労感や無気力、うつ傾向、不安、イライラ、性欲の減退、不眠など

睡眠と自律神経には、深い関係があります。自律神経は、「昼の神経」と呼ばれる交感神経と、「夜の神経」である副交感神経からなります。日中は交感神経が活発に働くと、活動的に過ごせます。夜になったら交感神経が少し鎮まって、副交感神経が優位になることでグッスリ眠れます。

ところが、更年期障害で自律神経のバランスが悪くなると、副交感神経の働きが悪くなるので、不眠を起こしてしまいます。また、テストステロンは睡眠中に多く分泌されるので、十分な睡眠がとれないと、ますますテストステロンが減るという悪循環に陥ります。さらに、男性の40~50歳代はうつ病やうつ状態が発生しやすい年頃です。うつと不眠は互いに影響し合うので、男性更年期障害の患者さんの約4割で、不眠症が問題となります。

不眠症には4つのタイプがあります。寝つきが悪い「入眠障害」、途中で目が覚める「中途覚醒」、朝早すぎる時刻に目が覚める「早朝覚醒」、グッスリ眠った気がしない「熟睡障害」です。男性更年期障害では、どのタイプの不眠症も起こる可能性があります。

対策の切り札は「男性ホルモンの補充」

男性更年期障害では自律神経のバランスが悪くなるので、それを元に戻すのが更年期症状への対策の早道です。食事は、3食を規則正しくとりましょう。遅い時刻の食事やお酒の飲み過ぎは控えてください。ウォーキングなどの運動で血液の循環を良くして体温を上げると、うつ気分が減り夜も眠りやすくなります。睡眠の質を良くするためには、夕方から夜の早い時刻の運動がお勧めです。

グッスリ眠るためには、光のコントロールや寝室の環境整備も大切です。日中はなるべく外に出て太陽の光を浴び、夕方以降は暖色系のやや暗い光のもとで過ごしましょう。理想的な寝室の気温は16~26度、湿度は50%前後です。

食べ物では、亜鉛やネバネバ食品がおすすめです。亜鉛には、男性ホルモン・テストステロンの分泌を促す効果があります。カキやワカメ、サバ、アジ、イワシなどの海産物に、亜鉛が多く含まれています。また、ネバネバした食品は、ホルモンを活性化して男性機能を回復する成分が含まれています。昔から納豆や山芋、オクラ、ナメコなどが良いといわれてきたのは、本当だったのです。

医療機関で行われる男性更年期障害の治療は、男性ホルモン補充療法(ART)が基本です。足らなくなった男性ホルモン・テストステロンを注射や飲み薬、塗り薬で補うものです。日本では効果の点から、おもに注射が行われています。

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takashi

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